哲学対話・哲学カフェに関連する本「僕らの世界を作りかえる哲学の授業」土屋陽介
多分、哲学研究者としての背景を持つ、こどもの哲学の実践者としては第一人者(になりつつある)と言えるだろう土屋陽介さんの本です。
こどもの哲学が中心だから、どちらかというと、学校の先生や子どもを持つ親におすすめな本なのかな。
哲学対話を通じて世界に緩やかな革命を起こしたい、(今の世代は間に合わないかもしれないけど)次の世代に哲学対話に満ちた世界を残してあげたい、そんなことは書いてないけど、そんな思いを感じました。
ただ、きちんと哲学カフェのことも触れられていて、今の大人世代だって哲学対話に満ちた世界に足を踏み入れることができるんですよ、ってフォローもされてます。
(このサイトも紹介されていてうれしいです。)
個人的なおすすめは第4章「哲学対話における「哲学」とは何か」です。哲学対話というものを通して「哲学」についてど真ん中から論じられています。
さすが哲学者です。とてもわかりやすく書かれていて、さらっと読めちゃうのに、骨太で、どこに出しても恥ずかしくない哲学論だと思います。
これに賛成するにせよ反対するにせよ、「哲学カフェなど哲学対話での哲学」と「伝統的なアカデミックな哲学」の関係を考えるにあたっては、ひとつの軸となる考え方が提示されたのではないでしょうか。(どうでもいいですが、僕は永井均ファンなので、この土屋さんの哲学観にかなり賛同します。)
この本では、哲学対話の場のひらき方もわかりやすく紹介していますが、百聞は一見にしかずなので、ぜひ、どこかの哲学カフェに参加してみてください!